そしてフランソワ・クープラン

前回は、ルイ・クープランのことを書きました。クープラン一族といえば、フランソワ・クープランはご存知の方も多いかもしれません。ルイは、そのフランソワの叔父にあたる人です。

今日は、フランソワについて。

今回のコンサートでは、3人の作曲家をとりあげますので、フランソワの第5オルドルの中にある曲全てを弾くことはできません。泣く泣く省く曲や、省略する繰り返し部分。そして、途中に2回区切りを入れる予定です。なにしろ、フランソワの曲を知らない人にとっては、どれも同じような曲に聴こえたりするらしいのです!だから、わかりやすいようにちょっと区切ります。 ジーグまでの4曲で一区切り、それから、また4曲弾いて、最後の3曲の前で一区切りです。

最後から3番目の曲、それは「葡萄摘みの人々」。 私にとって大切な葡萄!(発酵した液体に興味があります)、数日前から、この曲の音符が葡萄の粒に見えて仕方ありません。バッカスの踊りを連想させる曲調でありながら、もしかしたらフランソワは葡萄の粒を五線の上に実らせるデザインも遊び心で描いていたのかもしれません。なぜなら、フランソワのタイトルには複数の意味があったりすることがほとんどと言えるのです。ちょっとしたミステリーを感じる時さえあります。皆さま、それぞれに想像を膨らませてお聴きいただければと思います。

ジーグの後の4曲のうち、始めの曲はおどけた少年のような曲ですが、あとの3曲はクラヴサンの響きにヒタヒタに浸ります。弾いていると、音の温泉に漬かっているような気分です。
フランソワはとても細かい人だったので、自分の曲を自分が思う通りに演奏してほしいのです。 おどけの次の、バンドールの女は、左手はしっかりと、右手は流れるようにとの指示があります。左右違うことを求めるのも面白さの一つ。
そして、楽器の最低音を鳴らしてくれるのも気持ち良さの一つ。
続くラフローラは、優美にとの指示がありますが、左手のとても低い音に支えられています。 この2曲で低音を堪能できるのです。

ああ、全曲について書いたらきりがないので、ここまでにしましょう。続きは会場で。

事務局追記:今、トップページに掲載しているShort Movieで弾いているのは、3人目「アルマン・ルイ・クープラン」の曲の一部です。

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