フェスティバルを振り返って…クラリネット物語?
皆様、こんにちは。今日も暑いですね。
三日間に渡ったチェンバロ・フェスティバル第5回、余韻から抜けきれていません。
終わってしまえばあっという間ですが、ここへ辿り着くまでの怒濤のスケジュール、そしてフェスティバルを通じて「頑張らないで、ただ楽しむ!」曽根麻矢子から、
皆様へもパワーが伝わっていましたら事務局といたしましても嬉しく思います。
今日は、本人曰く “ありとあらゆる手を使って素早く疲労回復”ということで、マッサージ等で疲れを癒し、
その後はまたすぐに7/22(日)フランスでのスカルラッティ・フェスティバルでのリサイタルに向けて準備です。
さて、事務局では、まだまだチェンバロ・フェスティバルでご紹介しきれなかったことを、
こちらでお伝え出来たらと思っております。
まず、今回チェンバロ・フェスティバル・アンサンブルとしてお集まりいただいた演奏家の方々ですが、
皆さんお気付きの通り、ピリオド楽器とモダン楽器を持ちかえて演奏されていました。
まず、音量の違いに驚いたと話していましたが(チェンバロにおける強弱の考え方、クレッシェンド・ディミヌエンドについての考察についての記事も、今後アップしてゆこうと思います)、
それにともなって、最終演目ファリャ《チェンバロ協奏曲》ではチェンバロのみにPAをいれていました。
また、ファリャでも活躍していたクラリネットは、どうしてバロック音楽に使われていないのか?
というご質問もいただきましたので、少し調べてみました。
クラリネットの発明は、一般的に1700年頃と言われ、若きバッハの時代にはすでに存在していたのですが(その頃、まったくクラリネットの曲が無いのかというとそうではなく、少ないながらあります)、
ではなぜ、本格的にクラリネットが台頭するまで何十年ものタイムロスがあったのかと言うと、
《宮廷》が関係しているそうです。
バロック時代に宮廷に選ばれた楽器の多くは、
二調やイ調などシャープ系の楽器(フラウト・トラヴェルソは事実上のD管、オーボエもフィンガリング上は同様です。トランペットやホルンも基本はD管、弦楽器のヴァイオリンの調弦もG-D-A-Eとシャープ系)。
おそらく華やかな響きを求めてのことだったのでしょう。
また、当時のパリは現在のA=440より半音低いA=415が好まれていたこと(ルイ14世時代のヴェルサイユ宮殿はさらに低く、A=392くらい)に対し、
クラリネットが生まれたドイツや隣りのボヘミアでは非常に高いコアトーン(A=466)が好まれていたそうで、
パリとは長二度の差があったということになります
(…と、これから先のクラリネット物語を書き出すと「クラリネット・フェスティバル」だったのかという気分になりそうなので、ここら辺にしておきます。
ピッチをめぐる考察も多岐に渡りますが、今回のフェスティバル中にかつてないほど沢山の現代曲を聴き、
現代曲にもピッチの概念を持った曲はあるのか?と疑問になった私です。
その疑問に応えて?!くれたのが、有馬純寿さんと大井浩明さんによるレクチャー“チェンバロと電子音響の饗宴”。
演目の中に、衝撃の調律ハンマーを使っての演出?が。。
この話ももしかしたらまたいずれ書くかもしれません)。
通常のチェンバロのみの演奏会でも、休憩の合間に何度も調律しているわけですが、こうしたモダンピッチとの入れ替え(モダン楽器との持ちかえ)が頻繁な今回のフェスティバルでは、
更に、難儀な(調律師にとっても、奏者にとっても)ことがあるわけです。
振り返ることはまだまだありますが、今日はひとまずこの辺で。
以下、ご紹介しきれなかったレクチャーやコンサートについて写真と共にご紹介いたします。
全体の公式写真については、また後日ご紹介させていだきます。
こちらは植山けいさんによるレクチャー・コンサート《パルティータ~舞曲からバッハの組曲へ》
終了後、レクチャーから出てこられたお客様が「普段ピアノでバッハを弾いているけれど、目からウロコだった!」
ととても興奮しておられました。
こちらは先ほどの有馬純寿さん。
会場には四隅にスピーカー、そして舞台にチェンバロの大井さん(大井さんのみリハーサル風景)。
ラウテン・クラヴィーアを使い、渡邊順生さんによるレクチャー。
こちらの資料は、リュートをそのまま大きくして鍵盤をつけたらどうなるか…と、作られた楽器。
惜しくも、このリュートならではの形はこれほどのサイズになると響きに関して良い作用をしないそうです。
残念ながら写真をとらせていただく機会を逃してしまった、
上尾直毅さんによるリサイタル、カウターテナー藤木大地さんのコンサートも、好評のうちに終演いたしました。
事務局
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