ディスコグラフィ (CD,DVD,書籍)

4つのフルート・ソナタ / 有田正広、曽根麻矢子


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白い愛器が八ヶ岳まで遠征して録音デビューした、曽根麻矢子久々のディスク(録音時のブログはこちら)。有田氏による楽曲解説を初め、充実のブックレットも必見。
「バッハはチェンバロとの出会いをもたらしてくれた大切な作曲家です。自分を“努力を惜しまぬ真面目な人”に変身させてしまうほど圧倒的な存在です。 (曽根麻矢子)」ブックレットより。
(2019年録音)

バッハ:ゴルトベルク変奏曲


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前回のゴルトベルク録音からちょうど10年。6年に渡るJ.S.バッハ連続演奏会(これは一口では言い表せないたいへんなプロジェクトだった)が最終回を迎える2009年直前の年末に、再びパリに飛んで録音した記念碑的ディスク。
使用楽器は、2007年の平均律と同じグレープナー(パリコンセルヴァトワール所蔵)。
(2008年録音)

THE BEST(8)曽根麻矢子 BACH


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2004年からのバッハのアルバムからピックアップしたベスト盤。ボーナストラック(他磐未収録)はマルチェロ-バッハのアダージョ。
(2003年~2007年録音)

バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻


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J.S.バッハ連続演奏会プロジェクト期間中の、パリでの特別セッションによる録音。スキップ・センペが現地コーディネートとディレクションを担当しており、息の合った仕上げぶりを想像するのも楽しい。
使用楽器は、デイヴィッド・レイ作のグレープナーモデルのジャーマンタイプ。デイヴィッドは曽根の録音にしばしば楽器調律・調整のために立ち会っているが、このアルバムでは特に、彼によるwell-temperedぶりが聴きもの。
(2007年録音)

バッハ:イタリア協奏曲


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浜離宮朝日ホールでの録音からの第3弾。
バッハのチェンバロ曲の多彩な様式の世界を楽しめる名曲4曲。華麗であったり、深遠であったり、おしゃれであったり、構築美であったり、自由であったり。チェンバロという1つの楽器で聴くからこそ、バッハのすばらしさにあらためて気づかされる。
(2006年録音)  

バッハ:フランス組曲(全曲)


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浜離宮朝日ホールでの録音からの第2弾。
「あまりにも奥深い」J.S.バッハをコンサートで弾くために準備する「すべてを搾り出すような特別な時間」がその裏にあることを感じさせない。限りなく美しくナチュラルで愛情あふれるバッハ。
(2003年~2004年録音)

バッハ:イギリス組曲


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浜離宮朝日ホールでの全12回J.S.バッハ連続演奏会と並行して行われた録音プロジェクトの第1弾は、フランスエラートのデビューアルバムの曲目であったイギリス組曲。
曽根にとって運命の楽器であるチェンバロとの出会いを導いたJ.S.バッハへの、真摯な取り組みに触れる。
(2003年~2004年録音)

シャコンヌ~バッハ・チェンバロ名曲集


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チェンバロ以外の楽器のための曲を自身が編曲したものも含め、「広く知られるバッハの有名曲を、より多くの方達にチェンバロの音で聴いてもらいたい」という気持ちを込めて、作ったアルバム。おそらくこのアルバムでしか聴けない曲も収められている。
(2004年録音)

ラティーナ


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本人も忘れていた(?)CDデビュー10周年にあたる年に、故スコット・ロスのソレルのファンダンゴとの衝撃の出会いを振り返りつつ、新たなファンダンゴを作り上げた意欲作。素晴らしいリズムの切れ、スペインの情熱と哀愁を堪能できる。
曽根版ファンダンゴ(この曲のファンと言う人も多い)は、「超絶技巧の限り」であるが、超絶技巧であることを忘れさせる爽快な演奏である。
(2002年録音)

トッカータ


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チェンバロへの溢れ出る愛情を感じながら、レコーディングチームとの素晴らしいチームプレーで仕上げたトッカータ集。
曽根がトッカータの語源(イタリア語の「触れる」)について語り、聴く人の心に触れるかどうかは私次第と語る中に、録音セッションの充実ぶりが感じられる。
(2001年録音)

バッハ:フランス組曲(全曲)


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2015年についにパリに帰って行った黒いシノワズリ(長らくCDや数々のコンサートでおなじみだった楽器)。このアルバムは、パリに拠点を移していた曽根が、2000年にあの楽器と共に日本に戻って、最初に行った録音である。
かつてパリでのデビューアルバムがまさかのイギリス組曲(フランス組曲ではなく?)だったときからの10年間で「熟成させたフランスワインのような」フランス組曲。
(2000年録音)

ゴルトベルク


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曽根が若い頃からコンサートレパートリーにしており、「永遠に愛し続ける」ゴルトベルク変奏曲。録音場所として自ら見つけたきわめて響きの美しいパリの教会で、前の道を通るピザ配達車の音をものともせず録音に没頭したディスク。
スキップ・センペがディレクターを買って出てくれている。
(1998年録音)

ジュレーム


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「チェンバロを知らない人たちにも、ぜひその魅力を知ってほしい」という思いをもって作ったアルバム。
星の数ほどあるチェンバロのレパートリーから、バッハ、ラモー、クープラン、デュフリ、ロワイエ、スカルラッティ・・と愛すべき曲を幅広く選曲している。2015年10月現在、「フランスもの」の録音は意外にもこれ1枚しかない。
(1997年録音)

シネマチェンバロ


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8つのシネマ-名画の中で使われた曲をチェンバロで弾く企画アルバム。映画の印象と関係なくただその曲を弾くわけにはいかない、と、録音前に全ての映画をLDやVHS(なつかしい!?)で鑑賞し、イメージを作ってから臨んでいるところが曽根らしい。
CDジャケットの、映画フィルムリールを入れる缶にもたれるヴィジュアルも斬新だが、残念ながら現在は入手困難。
(1994年録音)

情熱のファンダンゴ~D.スカルラッティソナタ集


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スコット・ロスはD.スカルラッティの555曲のソナタ全曲を録音したが、このアルバムでは、その後発見された「知られざるスカルラッティのソナタ」を集めている。
この頃、曽根はスコットが夭折する直前まで愛用していた「スコットのクラヴサン」を引き継いで弾いており、「スコットはチェンバロを弾く心を楽器の上に置き忘れたまま天国に逝ったのではないかと、ふと思ったりする」と言っている。ブックレット裏面、スコットとのツーショットの2人の表情も良い。
(1993年録音)


バッハ:イギリス組曲第2番&第3番&第6番


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仏エラート社の名プロデューサー、ミシェル・ガルサンにスコット・ロスの遺志を継ぐ奏者として認められ、1990年から正式にパリに拠点を移した曽根の、1991年仏デビューアルバムの翌年リリースされた日本版。
高校生のときにチェンバロと出会って以来、チェンバロをこよなく愛する曽根は、このアルバムに寄せて「楽器を奏でる喜びが続く限り、私の情熱の炎は消えることはない。」と書いている。今もますます燃えるその情熱を最初に開花させたアルバムである。
(1991年録音)



書籍ほか


いきなりパリジェンヌ


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パリ在住時代に、雑誌「DIME」に連載していたエッセイをまとめたもの。パリに住んでこその裏わざ(?)の数々。
ちょっとマネできないわざもあるかもしれないけれど、なんといってもチャーミングなパリの空気が、生き生きと描かれている。
(1997年初版)


DVD BOOK チェンバロ~歴史と様式の系譜


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曽根が高校時代から親交のあるチェンバロ製作家の久保田彰氏が、チェンバロの歴史と様式について書き下ろしたDVDブック。数々の図版が美しい。チェンバロファンにも、チェンバロを知りたい人にもおすすめできる1冊である。
この書籍のために特別に撮影した映像を収めたDVDの中で、曽根はチェンバロを弾いているが、2015年時点でリリースされている曽根の映像メディアは、これのみ。
(2009年初版)

上記の各紹介文は、いずれも本サイト用の書き下ろしです。